8月2日 (土)

 4時すぎに目覚めた。さすがにこんなこそこそした場所ではぐっすり眠ることはできない。もっと寝たいのを我慢して青森駅へいった。朝5時なのに人通りが多く駅の中は今着いたばっかりの列車から降りた人でにぎわっている。重たい荷物をコインロッカーに預けて駅の立ち食いそばを食べる。駅そばとはいえ馬鹿にできないおいしさだ。そのまま近くの大きな公園へ向かいそこのベンチで1時間ぐらい寝っ転がった。

 青森ベイブリッジがきれいだったので海のほうに歩いていくと海の側に公園があってテントがいくつも並んでいた。「ここにすりゃーよかったぁー」コソコソ工事現場の中で寝ていたのが情けない。芝生が寝心地良さそうなので近くで段ボール箱を見つけてそれを敷いて寝た。「何だか寝てばかりだな、祭りは夜だから時間をつぶさんとな」

 その公園ではねぶた祭りのねぶたがたくさん待機していた。ここで作ったんだな。昨日は前夜際が行われたそうで、ますます工事現場で寝たのがもったいなかった。

 おなかがすいていたので、「青森ならリンゴだ」とリンゴを探しに町の市場をぶらつく。ところが なかなか見あたらない。「もしかしてリンゴはまだか・・・」見つけたリンゴはどれも冷凍されたものばかりだった。しかも高い。だがどうしても「青森でリンゴを食うんじゃ」と決めていたのでスーパーの中の4個入りを買った。「こんなにいらんのになぁ。しゃあないこれが昼飯じゃ」そして食う食う。「もーリンゴはいらんのじゃあ」となるまで食べた。さすがに胃が重い。残り一個のときは本気でアイスクリーム屋のおっちゃん(青森は高知みたいに屋台のアイスクリーム屋が多い。)に「りんごとアイスクリーム交換して」と交渉しようとしていた。

 青森ベイブリッジを渡ると国鉄時代に列車を乗せていた青館連絡船が観光用に停泊してあった。外観はすごく錆錆で痛みがはげしい。時間つぶしに入場料金を払って船内に入った。船内のほうは奇麗にされている。歴史関係の資料の展示や動力室、操舵室や、列車の格納庫など結構暇をつぶさせてもらった。

 前夜祭の行われた公園では人がどんどん集まり始めて今夜出すねぶたの準備に忙しそうにしている。跳人(ハネト)の格好をした人も多い。「花笠して浴衣で赤いたすきまでして、男か女かわからんな、それに鈴までつけてリンリンとやかましい」

 暗くなり大通りにいった。行列の先頭付近の直径2mはありそうな太鼓が鳴り始めた。「この太鼓は弘前ねぷたのじゃないのか?」ねぶた祭りのスタートだ。

 スタート地点は人が多すぎたので先の方に移動してビールを買った。ビールを飲むのは久しぶりだ。「お祭りぐらいビールを飲んでもいいだろう

 待っていると人の集団が踊りながらやってきた。次に小さなねぶたがやってきた。6人ぐらいがねぶたをリヤカーに乗せて見物人に向かって突撃する。ぶつかる寸前にねぶたを急停車させる。けっこう動きがあるな。

これがハネト

クリックするとねぶた写真がみれます

 大きなねぶたがやってきた。その大きさにもかかわらず、すばやい動きを見せる。観客の目の前で止まるとみんなが拍手する。夜のねぶたは昼間見たのと比べてなんて力づよく見えるんだろう。カメラのシャッターを押す手もだんだん力がこもってきて、人だかりよりも前に出てすぐ側まで出て撮っていた。熱くなった観客はハネトが付けていた鈴を拾うために大ねぶたの前に走り出ていく。つぶされてもしらんぞ。

 祭りが終わり、荷物をコインロッカーから取り出すと今朝、テントのたくさんあった公園にいってみんなに混じってテントを張ろうとした。「手伝いましょうか?」すぐ側でテントを張っていた2人の1人が声をかけてきた。「あ、大丈夫ですよ」それでも手伝ってくれた。

 その後、2人の会話にはいっていく。「お二人とも一人旅ですか?」「そうです」「どこから来たんですか(俺)」「名古屋です。どこからですか」「愛媛の松山ですよ」「へー松山だったら知り合いいますよ。」と、電話を取り出す。うーん1人旅で携帯電話は異様に見える。その彼は松山の人とつき合っているそうだ。日本は狭い。

 「ヒッチハイクって危なくないですか」「いいえ、全然なんともないですよ(俺)」「僕は昔乗せてあげてお金取られたことがあったんですよ」ええっ「サービスエリアの中で声をかけられて、車が故障したけれどどうしても行きたいところがあるっていうので乗せてあげたのです。そしたらその人自分は暴力団の親分で若い衆にサービスエリアで置いて行かれてしまって、しかもお金も持ってないと言うんです。そして後で返してあげるから少し貸してくれと言われたんです。その時話し方がとっても本物のヤクザっぽかったので本当かなと思って貸してあげたのですが、実はその人後で知ったんですが詐欺師で殺人をして逃亡中の人だったんです。もちろんその人から教えてもらった連絡先はでたらめでした。考えてみれば若い衆が親分を置いて帰るなんてあるわけないのに信じちゃって馬鹿ですね。」「・・・・・・・でも、命取られなくてよかったじゃない。「まあそうですね」ヒッチハイクで乗せるときは気を付けなければな。

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