第4章 アトランタ〜コロラド・グレンウッドスプリングス編

1月21日

 アトランタに到着するとガイドブックにあったように丸いビルを目指して歩いていく、歩いてすぐと書いてあったのだが、30分以上はかかった。アトランタのハードロックカフェの前を左に曲がり、ガイドブックにはそこで地下鉄に乗ると書いてあったが、もったいないのでそこからさらに1時間ぐらいかかってユースに到着した。(そのときにはまだグレイハウンドバスターミナルが移動したことには気づいていなかった。本当は地下鉄の駅がグレイハウンドのそばにあった。)

 アトランタは南部といわれるだけに今まで着ていた服装ではちょっと暑い。ここのユースは小さくてあまり泊まっている人はいなかった。オリンピックがあったのに意外に少ない。様子見ということで1泊でチェックインする。

 十分に時間があるので有名なコーラのミュージアムに行く。そこへはアンダーグラウンドという昔風のきれいな地下商店街をとおりぬける。

そこで食べたフローズンヨーグルトがとてもおいしかった。コーラのミュージアムは入場料が8ドルもする。でも中でいろんな国のコカコーラ製品がタダのみできることに惹かれて入る。

 中にはコーラの初期のビン宣伝の歴史、製造工程など様々な見所がある。サンタクロースは昔はいろんな服を着ていたが、白と赤にしたのはコーラだそうだ。昔からのオールウェイズコカコーラのCMが流れていたのを見ていると、ワシントン行きのバスで出会った黄色いモンベルを着た日本人にまた出会った。アメリカは狭いな。日本人の訪れるところはだいたい決まっている証拠か。

その後一緒にドリンク飲み放題のところに行く。

 コップをテーブルの上に置くと離れたところからジュースが飛んできてこっぶに注がれる。簡単なマジックだが、なかなかの趣向だ。全然美味しくないのから、日本にも是非持ってきてもらいたいものまで50種類ぐらい飲むことができる。最初のコーナーで飲み過ぎないのがおすすめだ。リヤルゴールドとジョージアが飲みたかったけど無かった。ちなみにここコカコーラの本社はジョージア州にある。

 土産物コーナーでコーラの形のブリキ製の筆箱みたいなものを購入して、2人でコーラミュージアム前で写真を取り合った。1人では自分が取りにくいのでこういうときはよい。

 その後その人がマーチンルーサーキングjr牧師の家をみたいと言ったので近くなので一緒に歩いていくことにした。ところがそこまで行く道がいかにも黒人街でとてもぶっそう。とてもじゃないが1人では歩いて行かない方がいいと思った。なぜか2人は歩調を速くする。帰りはバスを使おう。

 キング牧師はアメリカではワシントンに並ぶ偉大な人だ。その証拠にほとんどの大きな町にはストリート名に彼の名前が使われている。ミュージアムを覗いたが、英語が分からない人にはよく分からないだろう。そして生家を見に行く。このあたりはベトナム戦争の帰還兵のために作った公共住宅街だったそうだ。家賃が安く今では貧しい黒人達が住んでいる。生家は改修はされているが、大きくはない。

 バスを拾ってそこを去る。アトランタオリンピック記念のものを探しにオリンピックに使われた大きな体育館に行ってみた。きっと何かあるだろうと思ったのだけど、閉館して中にはそれらしきものは見えなかった。観光センターに行って「オリンピックメモリアルピクチャーなどはどこにあるか?」と英語で聞いたが「I don't know 」と言うだけでオリンピックと何度も言っても無駄だった。もしかしてオリンピックのことをアトランタ市民は忘れちまったのか?それらしき記念碑はあっても誰もいないし。(後で知ったのだが、オリンピックの発音は全然違うそうだ)

 観光センターのおばちゃんの対応でオリンピックはあきらめた。アトランタって全然おもしろくないなぁ。アトランタは元々観光名所は少ないらしい。だからユースはガラガラだったのだ。

 そこで黄色いモンベルの人と分かれる。彼は友達のところに泊まっているそうだ。ユースに帰って犬小屋を見ていると白人の同年代の可愛い子が声をかけてきた。とっても笑顔がいい。その娘はテキサス州に住んでいるそうで今チェックインを済ませたところだという。残念。アメリカでは目が合うと笑顔を見せる習慣がある。だから笑顔がきれいなんだなぁ。いいなぁアメリカは。

 ユースの中で日本語で話している男が2人がいた。日本人というだけで気軽に声をかけられるのがうれしい。2人いたけれど、1人はどうもおかしい。聞いてみると韓国人だそうだ。日本語も少しできるそうだ。韓国人の方は用事があって出ていった。残った日本人とビリヤードをする。ここのビリヤードはコインを入れると玉が出てくる仕掛けになっている。白球は落ちても帰ってくるけれども、カラーボールは帰ってこない。これじゃナインボールはできない。

 しばらくすると女の子の日本人がやってきてもう一人に話しかける。なんだか不機嫌そうな表情で「ビーフとチキンどっちがええの?」とぶっきらぼうに聞いてきて、彼もぶっきらぼうに「どっちでもええ」と答えた。なんだか険悪そうな雰囲気。

 事情を聞くとその女の子とは別のユースで知り合って別れ話など聞いてあげていると一緒に付いてきたそうだ。最初はおとなしかったが、だんだん言葉が乱暴になってきて腹がたってるそうだ。ビーフとかチキンとかいうのはインスタントラーメンのことだそうだ。腹立っているので外に食事を買いに行こうということになった。彼女の作ったラーメンなど食べたくないそうだ。相当切れとるな。

 もうすっかり夜で、近くの食料品店に一緒に行った。その道は人通りが多いのだが、足元を見るとそこには血のりが・・・こ、こわい。インスタントラーメンを買って速攻で帰った。彼は彼女に見つかるとやばいので自分と別々に食事をして、その後また話をしていた。富士フィルムの「APS写るんです」を見せたら分解してフィルムを取りだしてくれた。小さいカメラの中からさらに小さいフィルムが出てきた。これは持ち運びに便利だ。でもAPS方式の使い捨てカメラは装填ができないそうだ。でも、某社製の使い捨てカメラはフィルムの装填ができるそうだ。わざわざ高価なカメラを買わなくても済むそうだ。アメリカって日本よりフィルム代高いしな。(36枚取り感度400が6ドル程度)

1月22日

 ここのユースはホットコーヒーとドーナツがタダで貰える。それを朝食にして、チェックアウトを済ませる。

 近くに大きな公園があるのでそこに行きボーっとする。白人女性が2人タンクトップでランニングしている。ランニングしているほとんどの人はスタイルがいい。向上心のある人しかしないというところか。アメリカには様々な人がいる。どれも個性豊かで見ていてあきない。外見で人柄が一発で分かる。太った人は関取みたいに太っているし、スタイルのいい人はモデルみたいだし、目つきの鋭い黒人もいれば、イルカのような優しそうな目をした黒人もいる。金持ちと貧乏人の服装の違いなどとってみても、みんなそれと分かる。日本人は個性があまりにも少ないよ。

 グレイハウンドターミナルに行って次の目的地ナッシュビルに向かう。

1月23日

 バス泊して朝にナッシュビルに到着した。この町はデイビーにとてもいい町だと言われたので気になっていたところだ。ガイドブックを見ると音楽の町だという。そういえば通りのパブにはドラムなどがおいてあって夜になると演奏できるような状態になっている。ハードロックカフェも大きくてかっこいい。でも朝なのでとても静かだ。この町は夜がとてもおもしろそうだ。でも泊まる予定はないのでターミナルに戻る。

 いつも困っているのだが、コーヒーが注文出来ない。ある時はコーラが出てくるし、コーラ頼んだらコーヒーが出てくるし、今日はコーヒーを頼んだらアイスティーが出てきた。まあ大したことじゃないし、いずれ直るだろう。

 冗談じゃすまない事件が起こった。今まで使っていたカシオのデジタルカメラQV-10がメモリーエラーを起こした。なにを押しても元には戻らない。デイビーさんの写真とか大事な写真がいっぱい入っていたのに。バックの中で重石となった。カシオのサービスに持っていけば直るかもしれないが、どこにもない。かなりショックが大きかった事件だ。(しかし後に修理が出来、旅の後半恐ろしく役に立った)

 シカゴに向かう。着くときには夜になっていてシカゴの町の灯りが銀河系の星のようで幻想的だ。夜8時に到着。ターミナルの中でヨーグルトを注文したらちゃんと通じたのがなぜかうれしい。

 シカゴにユースがあるが夜遅くだし、ここから離れているそうだ。見物したいのでターミナルの中で寝ようと思ったが、それよりはバスの中で寝る方がましだと思ってニューヨーク行きのバスに乗る。また町の灯りを楽しむ。光の洪水だ。250マイルほど進んだ所のトレドに着いた。そしてまたシカゴ行きに乗り換える。その間に寝る。アメリパスありがとう。

1月24日

 バス泊2回もすると当然シャワーが浴びたくなってくる。頭がかゆい。シカゴにはシアーズタワーというとっても高いビルがある。

世界1の高さを誇っているらしい。高いところが好きなので登ってみたくなって、103階の展望階行きのエレベーターに乗る。有料だ。さすが世界一だけあってものすごい高さ。だけど外は雨が降っているので見晴らしは少し悪い。

 頭がかゆいことを思い出してトイレを覗いた。おっちょうど良さそうだ。ハンドドライヤーも上に向けてつけるやつだ。早速頭を洗い出す。ちゃーんとシャンプーを用意してっと。洗い終わると周りに髪の毛や泡が付いたのできれいに洗い流した。証拠隠滅っと。世界一高いビルのトイレで頭洗うやつは滅多におらんだろう。よしゃよしゃ。

 ビルを降りると雪が降ってきた。バスターミナルに戻ってロス行きのバスに乗る。途中のデンバーで降りる予定だ。とても客が多い。今までは隣の席が空いていたことが多かったが隣にも座っている。アメリカ人は多くが体が大きいので困る。コロラド州のデンバーまで約1000マイル(1600km)。東京大阪間2往復だ。

1月25日  バスの中は今までで一番最悪だ。シートをリクライニングしても後ろの人が足で押し戻す。じわじわ押し続けたら戻るようだ。まあ狭いのはよく分かるが。その人が休憩時間にバスから離れたときにシートを倒したり、隙を見ては倒す。それに泣き叫ぶ赤ん坊に意味の分からない英語で時々車内で大笑いする。

 窓の外の風景は全く同じ。低い茂みがまばらにある乾燥した風景だ。

地平線の見えるある踏切でバスが止まった。しばらくして乗客が降り始めた。貨物列車が駆け足程度の速度で通過し始めた。俺も降りてそれを眺める。10分以上待ってようやく通り過ぎた。いったい何両あったんだよ。

 6時間に1回ぐらい車内清掃のために1時間程度バスターミナルに降りることがある。そのときにリボーディングパス(乗りなおし券)を貰う。荷物は車内に置いておいていい、でも貴重品は持ち出すのが当然だ。乗り直す時に、ボーディングパスとアメリパスかチケットを見せると乗せてくれる。

 デンバーに到着したのは日没後だった。デンバーにはインターナショナルユースはなかったが、ターミナルの中にあるホテルガイドにコンドミニアム(相部屋方式)1泊$10のホステルがあったのでそこに行くことにした。

 歩いて1時間ぐらいの距離だったので歩いていくことにした。市内バスが出ているが、知らない土地でバスを使うとどこに行くか分からない。途中にあったキャピタル(議事堂)の近くにあった大きな建物はクリスマス仕様に飾り付けされていて見つめてしまうほどとってもきれいだった。

 アメリカで住所だけで目的のものを探すのはとっても簡単だ。たいていはストリート名と番地が書いてある。ストリート名とはそのまんま道に名前が付いていて、○○○ストリート(St.)は南北方向に道がある、xxxエイブ(Ave.)は東西方向。例えば、南北方向が(名前)St.で東西方向が(数字)Ave.ブロードウェイSt.1004番地だとするとブロードウェイと10Th Ave.の交差点の近くにある。というように番地を見ただけでだいたいの位置が把握できる。ほとんどの道が碁盤の目のようになっているおかげだな。

 おかげでほとんど迷わずに目的のホステルに着いた。久しぶりにビールが飲みたくなったので途中のストアで購入する。そのときにIDを見せろといわれた。アメリカは未成年者へのアルコール類の販売にはとても厳しい。そういった法律があるのも偉いが、こんな砂漠の中の都市のちっちゃな酒屋の店主まで浸透していることがなにより凄い。アメリカ人ってモラル高いな。パスポートを見せてトラベラーズチェックで購入した。

 ホステルのオフィスに行き、「Hi」と挨拶するとおじさんが「コンニチワ」と言った。なかなか愛想がいい主人だ。1泊のつもりだったが、受付のお姉ちゃんに熱心に観光名所を説明して貰ったので2泊にした。部屋は4人部屋になっていたが自分1人だった。今日の晩飯はビールとビスケットだけ。でもビールが最高に美味しかった。

1月26日

 朝食が1ドルだというので受付に行く。スクランブルエッグと薄いホットケーキだった。たまたまそのとき日本人風の人がチェックインしたところだった。実はその人はチベット人だった。全くそっくりだった。

 受付の人に教えてもらった動物園まで歩いていく。歩いていくうちにまた道路の血糊を見つけた。2度目なのであんまり驚かない。1時間以上歩いて近くの公園まで到着した。そこには野生の雁が群れていた。実物を初めて見たが結構でかい。何百羽もいる。近づいていったけど歩いて離れるだけだ。日本と違ってアメリカの野生動物はあんまり人間を怖がらない。リスもいたけど「リスリスぅ」って面白がってたのは最初の頃だけで、どこにでもいるので飽きてしまった。

 動物園に到着した。だけど入場料金がいるようだ。もったいないのでやめよう。公園の野生生物見るだけでもおもしろいや。

 図書館を発見した。中でインターネットが出来るはず。でも、ここはパソコンのコーナーが込んでいてあきらめた。デンバーは物価が安いようだコーラの自販機が50セントぐらいだ。

 ユースに帰ったら部屋に白人のおじさんがいた。あまり愛想が良くないので話さなかった。この人も旅人だろうか。

1月27日

 チェックアウトし、また歩いてバスターミナルに行く。今度の目的地はグレンウッドスプリングスだ。そこはロッキー山脈のど真ん中でスキーが楽しめる。わくわくしてバスに乗る。

 デンバーからグレンウッドまでは3時間だロッキー山脈がどんどん近づいてくる。平地では雪はなかったが、だんだん登るにつれて雪が多くなる。1時間以上ひたすら登りだけ。とても高くなってきた。外は絶壁絶景だ。今までの砂漠だらけの風景がウソみたい。高い杉で森になっている。

 グレンウッドスプリングスは谷に囲まれている所だ。着いたのはちょうど昼で天気が晴れだったので道ばたの氷が溶けて道にたくさんの水が流れている。すぐ近くにとってもおおきな温泉がある。水着ではいるようで露天になっていてもくもくと湯煙があがっている。

 そばに鉄道の駅があり、初めて近くでアムトラックという大陸横断鉄道を間近で見かけた。アムトラックは比較的お金持ちの旅行者が利用するようで、乗客が降りているのを眺めたが、じっさいアメリパスの利用者と比べて着ているものもリッチそうだ。アムトラックは貨物列車が走る線路を走るのでどうしても貨物列車のスケジュールにあわさないといけない。そのために、駆け足程度の速度で走ったり、6時間以上の遅れになったりするのはしょっちゅうだそうだ。その点ではグレイハウンドバスはスケジュールはかなり正確だし、早く目的地に着ける。結局このアムトラックはこの駅に3時間以上停車していた。

 地図を見てユースに行く。ここのユースは昼は鍵が閉まっていて午後4時になってからチェックインが出来る。受付はとても美人でかわいい、そしてたくましそうだ。身長が同じぐらいで足が長いからかな。女の人は体ががっしりした人が多い。比べて日本人はきゃしゃだなぁ。ホモにもてるわけだ(俺は誘われてないぞ)。

 ここユースは米とパスタがタダで使える。それに調味料もそろっている。滞在費は安く済みそうだ。ガイドブックにも書いてあったが、ここグレンウッドは1年中楽しめるところで、夏は登山にカヌー、冬はそばに超格安のスキー場がある。世界的に有名なアスペンという山が1時間の所にある。1年じゅう温泉が楽しめるし。山のリゾート地としてはアメリカ最高の所だろうか。

 4時をすぎたらホステラー(ホステルに泊まっている人)が続々と帰ってくる。ほとんどの人がスノボーを持っていて、高校生ぐらいだろうか。かなり若く見える。愛想はあまり良くない。たぶんこの人達はスノボーをやりに来たのであって、旅人ではないからだろう。きっとアメリカに住んでるのじゃないかな。

 そして、レンタルスキーを借りに行く。英語が分からないので、相当苦労したが何とか借りられた。

 シャワーを浴びてキッチンで料理を作る。野菜が食べたくなったので、野菜炒めを作っていた。たぶん周りの人は中国人だとおもってただろう。結構派手に油をとばしていたからな。

 男は料理を作ってないみたいだが女の子はキッチンに4人ぐらいいる。こっちは結構愛想がよくてどこから来たかとか、スキーはどうだったとか話し合った。なかなかいいところだ。

 掲示板にスキー情報が書かれてあって近くのSUN LIGHTという山ならリフト代が18ドルでレンタルスキーが8ドルとなっている。なんて安さだ。早速申し込みする。ちなみに世界的に有名なアスペンの山々のリフト代1日38ドルだった。

 このユースの収容人数は30人ぐらいで結構小さい方だ。それに、いっぱいの状態になっている。人気のユースらしいから数人で行くときは予約がいるだろう。1人の場合でも4時のオープンの時に早めに来て1番にチェックインしたい。

1月28日

 ここには1匹の犬がいる。そいつがユースの中で放し飼いされている。そいつが人のズボンの裾を咬むんだな。結構しつこいやつだ。口に手を入れないと離してくれない。

 朝食はそばにあるセブンイレブンで買ったパンと卵とホットドック用ソーセージとヨーグルトだ。朝食の時に一緒になったスウィーディン(スウェーデン)のキャッツリンと知り合う。その娘は同じスキー場に行くそうだ。

 一緒にスキー場まで無料でトランスポートしてくれるバス乗り場まで行く。スキーブーツをそこまで持ってくれた。親切だなぁ。キャッツリンはスノーボーダーだそうだ。バスに乗り込んで出発する。10分ぐらいで着くと書いてあったが、そのバスは遠回りしていろんな人を乗せたので1時間かかった。

 そのスキー場には3つのリフトがある。コースは20以上ある。平日なのか人がとても少なくてぶつかる心配などする必要がない。入り口でキャッツリンと分かれる。

 スキーをするのは2年ぶりぐらいなので最初はボーゲンしか滑れなかったが、感を取り戻して少しうまく滑れるようになった。時々リフトで登っているときにキャッツリンと出会う。そのたびに「Hi」と挨拶する。とてもいい子だ。お昼が近づいたときにお昼に一緒にランチを食べないかと誘った。でも、お昼はバックパックに入っているそうだ。よく彼女の言ってる意味が分からない状態で、食べないのかなーと思ったのか、自分が「OK」と言ってそこで分かれる。なにがOKなんだろう??。

 そして一人で滑りおりて、下のファーストフードでランチを食べてたらキャッツリンがやってきた。キャッツリンはエネルギーバーを取りだしてそれを食べている。えったったそれだけ。少しだけ話しただけで会話は終わり。英語が使えないのがこたえた。勉強せねば。

 また一人で滑り出す。結局3時すぎまで滑りまくっていた。そしてユースに帰る。

 晩御飯はパスタをゆでて油で炒めてケチャップを加えてイタリアンスパゲティにした。何故か花がつおがおいてあったのでそれをかける。花がつおなんて日本人しか使い方わからんぞ。

1月29日

 スキーがだいぶ上達してきたので今日はビンディングを少しあげた。キャッツリンは今日は同じバスにいなかった。そのかわりまた同じユースの白人の女の子が一人いた。ちょっと雰囲気が合いそうになかったので声をかけなかった。でもリフトなどでたまたま近くを通ったときにはちゃんと挨拶をしている。ここにしばらくいたら女の子の友達たくさん出来そうだなぁ。でもお金ない。かなしーぃ。それにしてもアメリカで出会う人は挨拶とかしやすくていい。目があったら笑顔で返す習慣というのは俺にはぴったりだった。日本はそんなの無いなぁ。

1月30日

 チェックアウトしてホットスプリングスという温泉に向かう。入泉料は6ドルだ。水着が必要なのでここで買っておいた。どうせフロリダで使うだろうからな。水着のレンタルもある。

 熱いお湯とぬるいお湯があって、熱い方は15m四方ぐらい。ぬるい方は25mプールぐらいの大きさがある。泉質はとても鉱物が多いみたいでプールの縁に成分が固まって出来た石がある。雪山を眺めながら温泉に浸かれるのは最高の気分だ。歌いたくなる。お湯から出ると外気はマイナスなのですぐに冷えてしまう。

 そこで2時間ほどのんびりしてから、グレイハウンドに乗ってソルトレイクシティに向かう。泉質がよかったからか、ホカホカした状態が数時間も続いた。

 ソルトレイクシティに夕方に着いた。この近くには最高速チャレンジでよく使われるグレートソルトレイク湖がある。その湖は塩湖で乾燥した塩だけの平地部分もある。そこで最高速アタックをするのだ。でも日程の関係で見ないことにした。グレートソルトレイク湖へはグレイハウンドバスがイベントがあるときだけ連絡するそうだ。イベントがあるかどうか分からないのも行かない理由。

 バスターミナルの中で日本人と出会って話をした。ソルトレークはモルモン教の中心地で世界最大のモルモン教の教会があるそうだ。そのおかげで治安がいいそうだ。

 日暮れまでに教会を見に行こうとしたとき、白人のおじさんが話しかけてきた。お金目的で話しかけてくる人は多かったが、そうではないみたいなので英語の勉強にもなると思い話し込む。英語教師だそうだ。その人は自分の言いたいことを英語が通じないのなどおかまいなく、自分の話をした。こっちの人には気軽に人に話しかけられる雰囲気がある。何故か日本人には話しかけるのに少し勇気が必要なのだろうか。

 結局日が暮れてしまってモルモン教の教会は見れなかった。サクラメント行きのバスに乗る。

 サクラメント行きのバスは混雑していて、窓側の前列3列目といういい場所を手に入れたが隣に人が座ることになった。その人は旅人風の大きなバックパックを背負った少し年上風の目の大きい芯の強そうな女性だ。なかなか愛想がいい。バスの旅は出会いが豊富でいいな。デンマークから来たそうで、ナースをしているそうだ。英語の会話でははやたら話の途中に「ヤー」と「アハ」を耳にする。それはどんな意味か聞いてみたら「ヤー(yeah)」は「YES」と同じ意味だろうという。「アハ」は聞くのを忘れたが、たぶん「うん」という相づちだと思う。会話にしか登場しない英語だから勉強してないんだな。でも直接外国人にそのことを聞けるのがうれしい。


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