11月26日
目を覚ますと何人かの駅にやってくる普通のお客さんと目を合わす。前回ので慣れてはいたがやはりちょっとだけ恥ずかしい。ほとんどの人からは浮浪者と変わらない身なりなのだから。歩きの人は慣れたもので「おはようございますー」と笑顔で挨拶をしていらっしゃった。
菓子パンと大麦若葉の粉末で作った青汁ドリンクで朝食を終え、伊予桜井駅を出発した。出発するときに自転車組の2人は駅に捨てられた自転車の部品をばらして自分の自転車の部品として取っている最中だった。「これだから自転車で遍路するときママチャリがいいんだよな」って。ロードサイクルだと自転車屋に部品がなかったり、あっても高価だったりするので不便なんだそうである。特にブレーキパッドやタイヤはすぐにすり減るそうだ。
しばらく進んだ道の駅に先ほど別れた2人の自転車の方と72歳の荷物たっぷりのおじいちゃんと遍路ではない歩きの若者がいた。おじいちゃんの荷物っぷりは、今まで見たので最大である。まるで自転車を戦車に改造したのか?というほどの箱形の武骨なスタイル。フレームやタイヤが見えない…。「一日に何キロぐらい進むのですか?」と聞くと「そんなもん全然気にしたことが無い。この自転車だからね。」時間も距離も全く気にしてない様子。「この自転車で走っていると何でも接待してくれてねぇ、{自転車だからまだまだ乗せれるわい}とダブルの毛布を貰ったときはさすがに困った」いきなり超強者である。
「私を見た定年を終えた人が、おじいさんがここまでやっているのなら私にもやれそうだ」と自信がついてその人実際やったそうである。かなり変わった人だがたくさんのお遍路さんを勇気づけている人なのである。廻った回数で自慢している人がたくさんいるけれどもこういう人を見るとそんなのは問題じゃないなと思えてくるのだ。お遍路さんには様々なスタイルがあり多様性があって本当に面白い。
ご接待で頂いたものばかりらしい。 |
さらに歩いていると地元の自転車の人にジュースを接待して頂いた。この人お遍路さんに接待するのが好きなんだな。俺なんか一度もない…。商店の自動販売機の前で雑談していると、商店のおばちゃんがでてきてチョコレートを接待していただいた。「がんばんなさいよ」接待していただいたときはいつでもジンとくる。
東予市の三芳小学校前でのんびりと足にまめが出来てしまわないようにテーピングする。これが大事なのだ。前回は「まめができてからやればいいや」となめてかかってひどい目にあったのだ。
5時に横峰寺の登山口にある「四国の道休憩所」に到着。今晩は一人だけだ。すぐ側では石槌の水を汲むことができるようになっていて、日暮れまで頻繁に住民が水を汲みにきていた。西条の湧き水と同じ質なんだそうだ。寝るときにはその水の滝のような音が結構うるさい。
ジャケットを巻きずし状に巻いて太い輪ゴムで絞めると座布団や枕になることを発見した。最低気温は11度でそれほど寒くない。今回新調した寝袋はマイナス15度まで大丈夫なので十分に耐えられる寒さだ。
四国の道休憩所 | 食事の様子(おかゆ、納豆、乾パン) |